雪が降る町~追憶のletter~
「10年前から変わらずにおれは利用されるだけなんだ…」


大地が泣き真似をしながらそう呟いたから晶は聞き返した。


「利用される?」
「え!!まさか、昨日聞いて無いの?!」


大地は泣き真似を止めてまた快斗を見ると、快斗は少し動揺したようにふいっと目を逸らした。
晶はそんな2人のやりとりをみて、大地に“教えて!”とせがむ目で見つめた。


「晶ちゃん··あの日、快斗がおれを誘ったんだ。『晶と一緒に年越ししよう』って」
「一緒に年越しって··」
「だって、考えてもみてよ。差出人が来れないことはアイツが知ってて当然なんだから。自己都合で晶ちゃんの前に出ていけなくて、それでその穴埋めでおれまで使おうとしたんだぜ?」


完全に悪者の快斗は一向に目を合わせずに、謝りもしない。


「今回もおれのおかげみたいなとこあんだから感謝すれよー快斗」


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