雪が降る町~追憶のletter~
翌日。
俺は普通に学校で過ごしていた。
給食も食べ終わって、昼休みになった時だ。
珍しく忘れ物をしてしまった俺は、悩むことなく晶の元に向かっていた。


「あ、晶、いる?」


晶のクラスを覗き込んでドアの近くにいたヤツに声を掛けた。


「“晶”?」
「あー…結城!」
「結城?…いないみたいだな」


ちらっと見たことあるくらいのその男に名前を聞き返されても俺はなにも思わなくて、ただそいつと教室を見渡してた。
晶が居ないことがわかると、俺はその辺にいるかもしれない晶を探そうとその場を離れようとした時だった。


「あ、お前!」
「…は?」
「あ、ごめん…名前、知らなくて」
「…桜井だけど」
「桜井…。結城の彼氏?」


急に『お前』と呼び止められて、正直ちょっとムカっときたけどその後の話し方が別にそういうつもりじゃなかったというのがわかったから俺は普通に答えた。
だけど、最後の質問は引っ掛かってすぐに答えることが出来なかった。


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