雪が降る町~追憶のletter~
びゅうっと吹く風に体が持って行かれそうで恐怖が襲ってくる。


「ひゃ・・・!!」


自分の手元から見える暗い庭が一層高さを感じさせて、一瞬そこに登ることも降りることも困難になってしまう晶に手が差し伸べられた。

その手はこの間見て気付いていた筈なのに、いざ触れられると想像以上にごつごつとした熱い手に晶の心臓は驚きを隠せずに鼓動を早くした。


「下見るな。俺を真っ直ぐ見とけ」
「・・・・」


(そんなこと、言われても)


そして実際はそう遠くない距離のバルコニーから快斗のところへ移動するのは今の快斗の手に支えられるとそんなに大変なことではなかった。


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