雪が降る町~追憶のletter~
その声はすぐ近くから聞こえた。

「いつもこんな早いのか」

目を開けたと同時にその声の方向に振り向くとそこには今まさに脳内で再生していた快斗の姿があった。


「かっ・・・いと」
「おう」


晶の驚きの意味は快斗にはおそらく通じていないだろうが、自分が急に声を掛けて驚いている晶を見て快斗は楽しそうに笑った。


「か、帰り…?」
「じゃなきゃここにいねぇだろ」


わかりきったことを言う晶の頭をぐしゃぐしゃと撫でると、ちょうど待っていたバスが来たことに快斗は『ラッキー』と喜んだ。
晶には一人で待つバスは1分が長く感じるのに、快斗がいるときは同じ1分とは思えない早さだった。

触られた頭がまだ感触を残している――
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