雪が降る町~追憶のletter~

「結城さん、ここきたことある?」
「いえ、実は···」


2人が来たのはテレビ塔。
地上から約90メートルの高さから大通を一望できる。

真田が望遠鏡に200円を入れて覗きこんだ。


「オレの家はどの辺かな」
「わかりますか?」


夢中で自分の家を探している真田の姿を見て、晶は少し緊張がほぐれた。
なんだか先輩なのに可愛い気さえしてしまう。


「あ、あった!多分あの辺!」
「え!すごい!どこですか?」
「ほら、あの黒い建物の隣の―――」


そういって真田がよけた望遠鏡に目をあてる晶は何も警戒することなく真田の懐に入るようにして望遠鏡を覗きこんだ。



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