雪が降る町~追憶のletter~
(こんなに席が空いてるのに、近すぎかな···?)


晶が変な緊張の中そんなことを気にしていると、右隣の快斗の手に少しだけ触れてしまった。

一瞬、ピクッと反応された気がしたけれど、快斗は相変わらず外に顔を向けて頬杖をついたままだし、晶も何も言わずにそっと手を自分の膝の上に置きなおした。


「今日」
「えっ??」
「どこいったの」
「どこって···」


快斗は景色を眺めたままだ。
だけど晶は快斗を見ることが出来ずにただ自分の膝の上の手を見つめる。



「テレビ塔···」



ぽつりと一言晶は答えると、快斗も『ふーん』と素っ気ない短い返事だけで暫くバスのエンジン音だけが2人の間を流れていた。

< 79 / 218 >

この作品をシェア

pagetop