雪が降る町~追憶のletter~
「おれもアイツが高専来た時にはびっくりした。“まさか”って」
「でもそのおかげで今もかわらず大ちゃんと繋がってるんだね」


丁度運ばれてきた料理を見ながら晶が言うと、大地は嬉しそうに『そうだな』と答えた。


あっという間にそれを平らげると、2人は快斗がくるまでの時間をコーヒーを追加して待つことにする。

ふわりと上へのぼる湯気に息を吹きかけて大地がコーヒーを口に含む。
晶はくるくると回るミルクの行方を目で追っていた。


「あ、こっから見えた」
「え?なにが?」
「テレビ塔」


浅く腰を掛けて前のめりになり、肘をテーブルに付きながら外を見て大地が言った。


「あれはずっと昔から変わんねえな。――当然か!」


そんな風にひとり言のように呟いては笑って、またカップに口をつける。


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