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「い、いや、気にしないで」
「なにそれ、気になるじゃん」

 むくれっ面でいう私に、陣は弱ったように、小声になった。

「男なら普通の反応と、いいますか……女の子に反応してしまうというか……俺が、敏感なのか……」
「は?」
「……みあが、可愛いから、反応しちゃった」
「どういう意味?」

 意味がわからない。
 陣が意を決したように、さっと視線を下に向けてから戻した。

「みあが可愛いから、たっちゃった」
「ぶっ」

 思わず私は噴き出した。
 そして、信じられないものを見るように陣を見て、固まった。

 たっちゃった、って……はぁっ?!
 頭の中が、パニックになる。
 え、今まではなんともなかったのに、どうして?

 真っ赤になって、焦る。
 だけど私が焦ったら、陣はもっと恥ずかしい思いをするだろう。

「しょ、しょうがないよ、男の子だもん!」

 陣が気まずくならないように、私はそれを笑い飛ばした。
 なのに。

「みあ」
「んあ?」

 陣は、私の唇をついばむようにキスをした。
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