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 陣も言ったじゃない。
 大丈夫になるからって。

 必要なのは、時間だ。
 二人とも、落ち着くための時間。

 私は陣の隣から、離れたくない。
 だけど、陣、貴方は私にどうして欲しい?

 陣、もし貴方が私に望むなら、私は貴方のそばを離れるからね。
 私は、貴方を悲しませてまで、貴方に辛い思いをさせてまで、一緒にいるという選択はしないから。
 もし、貴方が今までどおりはできないというのなら、私は、貴方のそばを離れるから。

 私は、願っていたのかもしれない。
 そうやって、陣のほうから別れを切り出すことを。
 私達の関係の、終わりを告げることを。
 私には、決められないから。
 私自身は、陣とは離れたくないから。


 気づくと、朝になっていた。
 ソファの上で、横になっていた。
 今日は、休みでよかった。
 ふと、携帯が光ったのに気づく。
 確認してみれば、陣からのメールだった。

『みあ、昨日はごめん』

「……」

 私は、弱虫だから。
 ごめんね、陣。

『ねぇ、陣。陣が辛いなら、私は陣のそばから離れるよ』

 本当は離れたくなんかないのに。
 陣に引き止めてもらいたいんだ。
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