時間旅行者ヒナタ
序章*
カタン…カタン…――。
揺れ動く電車の中。
あたしは目を覚ました。
「あ、目が覚めた?」
荷物を下ろしながら、タイムくんはニコッと笑った。
「そろそろ降りるから、準備して」
言われてすぐに、電車のキキィーーッというブレーキ音がした。
「ほら立って。降りるよ」
…もう着いたの?
起きてすぐで頭が働かない。
早く電車降りなきゃ
でも、いくらなんでも急すぎじゃ…
胸の中でぼやいていると、タイムくんはさっさと降りてしまった。
“まもなく発車します”
「え、嘘?
おっ降ります!!」
そこでようやく頭が覚醒し、
焦ったあたしは鞄に荷物をぶち込んで急いでホームに降りた。