急性大好き症候群
太一があたしの体をなぞる度に自分でもびっくりするくらい甘い声が漏れる。


あたしを纏う制服は既に脱がされて、太一の手があたしの心臓の真上あたりに触れた。


「すげ……めっちゃドキドキしてる」


太一に気付かれたことが恥ずかしくて、目線を逸らす。


「だって……」


緊張しているのだ。


今までぶつけられるようなことしかされてこなかったから。


「怖い?」

「ちょっと、怖い……」


言いながら、こんな自分を情けなく思った。


年下に、しかも苦しんでいるのに気を遣われるなんて。


そんなあたしを見下ろして、太一が弱々しく微笑んだ。


「大丈夫だから」


そして、手が触れていたところに太一の唇が降ってきた。


本当は太一だって、自信なんてないだろう。


それでもこんなあたしに気を遣ってくれる。


優しすぎる。


太一は最後まで優しくあたしに触れた。


意識を飛ばす寸前、あたしは太一の頬に手を伸ばした。


「……イきそ?」


弱々しく、でも少し意地悪そうに微笑んだ太一の目尻の涙を拭って、あたしは意識を手放した。


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