急性大好き症候群
「太一くん……」


人影があたし達の目の前で止まる。


あたしは目の前の少年を見つめた。


あたしが顔を上に向けないと見えないくらい高い背丈、広い肩幅、高い身長の割には小さい顔。


「えと……」


太一くんがあたしを見て目をしばたたかせていた。


困惑しながらも考えているようだ。


「待って、名前出かかってる」


太一くんが自分の指を額に当てて目をつぶる。


そんな姿がかわいらしいと思った。


「『織』がついてた。……いおり、しおり、かおり、さおり、ひおり、……あ」


太一くんが目を開けた。


「みおり」


あたしは思わずずっこけてしまった。


「『いおり』ですっ!!」

「あ、最初ので合ってたのか」


あたしはなんだかおかしくなって笑った。


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