マーメイ ~人魚姫の恋~
物語の始まり

海の、深くて、深くて、もっと深い場所。

そこに私はいる。

人魚の住む、海の奥深く。


人魚は空想の生き物だって思ってない?

そんなことない。私たちは此処にいるもの。

。・。・。・。・。・。。・。・。。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。


私はマーメイ。

[マーメイ・イフレ]

ここ、人魚の集う海の底の姫。

「あ~あ~・・・はあ・・」

ふとため息をついてみた。

お父様は最近街へのパトロールで忙しいらしく、ここ最近見ないし。

お母様はお父様の残してた仕事を片付けてるし。

姉弟なんて、私にはいないし。

でも、お勉強をする気にもなれないし・・・。


つまり、暇である。

人魚のお友達も、私にはいない。

王族の私は、このお城からほとんど街へ出る機会がないからだ。

「お父様とお母様は普段から街へ出てるのに・・・」

昔から何回も誘拐されかけている私を、お父様とお母様はあまり街へ行かせてくれない。

人魚の国でもいくつか分類があり、

私たち「王族」と、

王族に仕える「仕族」。

一般の人魚、「平族」。

それぞれ専門の職をもつ人魚も入れると、かなり細かく分類されるけど、

私を何回も狙ってくるのは「狂族」と言われる、人魚でありながら

人魚の道から外れてしまった、ごく一部の者達。

・・・・・。

はあ・・・。


外に出るのを禁じられていながらも、実は私は、「ある場所」へと、

ひっそりと出かけているのだ。








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