純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
それから何年かかったのか。
アイツはやっと俺の腕の中にいる。
相変わらず鼻水を遠慮なく垂らしながら、ビービー泣く彼女。
だけど、そんなアイツを可愛いとさえ思ってしまう俺。
彼女のせいで、俺も重い鎧を脱いでみようなんて思ったものの、アイツほど素直になるのがどれだけ難しいことなのかは、やってみてようやく分かった。
だけど……今日くらいはそうしよう。
やっと手に入った彼女を、ずっと呼びたかった名前で呼んで……。
「梓」
本当は、そう口にする日を夢見てきた。
それじゃあまるで恋を覚えたての少年じゃないか。
だけど、彼女を見ていると、それでもいいんじゃないかと思えるから不思議だ。