ラブミー・アゲイン



…あの時の私には、まさか自分が化学教師になるとは思ってなかったな。


水無月くんに問題を教えながら、ぼんやりと思った。



本当に、高校生の私から見ると、想像できない。

しかも、母校で。

…あの人と過ごした理科準備室で、こうして補習をしてるなんて。



一体、誰が想像するのだろうか。



「…せんせーい?」



ふわり、と。

窓から入ってきた爽やかな風は、同時にあの時の彼の香りを運んできた気がした。


私は、忘れもしない。

彼に再会した、一年前の夏の日を。






――――――…



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