×戦国ギャグ物語×
第7幕×三兄弟編

×日向晴之助

忙しい、拙者は忙しいのでござる。

何がそんなに忙しいのかと申すと…。


「日向霧助!真面目に闘え!!」
「拙者は真面目でござるよ、晴之助」
「叩きで闘っておいて何が真面目だっ!!」


そう、今拙者の目の前で喚く忍に、手を焼いておる。

せっかくなので紹介致そう。
この者の名は、日向晴之助(ひゅうが はるのすけ)。

そう、拙者の弟でござる。

拙者と違い冷血で残忍な、暗殺の達人と恐れられておる忍だ。

実を申すと、拙者は晴之助が苦手でござる。
昔から冗談が通じぬ上に、この嫌われよう…。

一体何をそんなにカリカリしておるのか。


「晴之助、止めぬか…拙者、掃除で忙しいのだ」
「忍の癖に掃除とは…恥を知れっ!!」
「おっと…」


飛んできた手裏剣を麻布で取る。
晴之助は悔しそうに拙者を睨んだ。


「危ないでござるなぁ、壁に刺さったらどう致す。拙者、お前に何か気に障るような事を致したか?」
「くっ…!貴様のその飄々とした態度が昔から気に食わないのだ!!」

「…それは、お前が単に堅物なだけで拙者は何も…」
「黙れっ!!」
「おっと」


今度はクナイか、兄に対しても容赦せぬなこの弟は。

拙者はこれも麻布で取り込んだ。


「何故避けない!?一々取るな!!」
「壁に刺さったら困るからでござるよ。ほれ、返すからとっとと帰れ」
「なっ…!」


拙者は麻布で取った手裏剣とクナイを、まとめて晴之助に投げた。
その数、ゆうに十数以上。

晴之助は素早くかわし、空を斬った手裏剣とクナイは外の木に刺さった。


「くっ…!次こそはその首もらい受ける!!」


そう吐き捨てると、晴之助はそのまま屋敷から出て行った。


「…何がしたかったでござるか、あいつ」


腰に手を当て、小さくなっていく後ろ姿を見送り、拙者は掃除に戻った。

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