×戦国ギャグ物語×

×池の鯉

肩がこる…全く、今回の任務は面倒であった。

戦の視察は神経を使うものだ、忍を撒くのに時間がかかった…やれやれでござる。


「む、そういえば…今日は幸姫を見ておらぬな…」


あのお転婆姫は、一体どうしておるのか…。
廊下を歩く女人に尋ねた。


「すまぬ、じゃじゃ馬を見掛けなかったか」
「あぁ、幸姫様なら、鯉池の所で鞠つきされておられました」
「かたじけない」


鯉池か…屋敷の真裏だな。

…というか、じゃじゃ馬で幸姫という事がわかったのはどういう事だ。


「ふむ、ここか…」

「ガボガボガボボボ…」
「わあぁぁぁぁ!!幸姫ぇぇぇ!!」


幸姫が、何故か鯉池にハマっておる!!
で、溺死する前に早く引き出さねば!!


「幸姫!!無事でござるか!?」
「ぶはっ!!…ハァ…ハァ…ハァ…!!あー…死ぬかと思った…」
「お痛わしや幸姫…一体何が起きたでござる?」
「鯉捕獲しようとしたら落ちた…」
「な、何故鞠遊びから鯉捕獲に!?」


たまにこの姫の仕出かす事が理解できぬ。
一度医者に診てもらった方が良いのでは…?


「鯉って綺麗よね…見とれちゃう」
「乙女ぶっても、今の幸姫の姿は目も当てられぬぞ」
「池の女神と呼びなさい」
「そんな生臭い女神いてたまるか」


ハァ…また仕事が増えたでござる…。
この姫は仕事を与える天才でござるな…。


「幸姫、お召し物を変えなされよ」
「えー…面倒くさい」
「生臭いよりよっぽどマシでござる!つべこべ言わずにさっさと着替えられよ!!」
「わかったから、クナイしまって!!」


生臭い姫君など、恥ずかしくて面に出せぬ。
意地でも湯あみに入って頂く!!
< 5 / 84 >

この作品をシェア

pagetop