×戦国ギャグ物語×
×対面
あの声を聞いてから、拙者は狐太刀となって幸姫の前へ現れなくなった。
恐ろしくなったのだ、自分自身が。
『なんと厳しい男だ』
―――…あの声は、確かに…確かに拙者の声だった。
こんなことが果たして有り得るのか?
耳元で聞こえた、第三者からの声が己の声などと…。
任務の最中では着ける狐の面…。
任務が終われば、すぐに面を外した。
あのままでは、いずれ……。
拙者は嫌な妄想を頭から振り払い、屋敷に戻った。
やはり寝静まった屋敷。
今夜はもう遅い、流石に幸姫も床についておる。
あの幸姫と狐太刀が出会った木の元で、拙者は溜め息を吐いた。
「…よくも幸と引き離したな」
「…!!何奴!?」
振り返ると、そこにいたのは…。
「…そんな、有り得ぬ…!!」
「感付いたか、流石霧助だ」
「何故…何故だ、何故お前がいる…狐太刀!」
「ふっ…何を言っている」
狐の面を着けた、もう一人の拙者…。
腕を組み、あの木に寄り掛かる狐太刀。
「俺は、お前の念から生まれたのだ」
「拙者の…念からだと…?」
「恨み、妬み、焦り、怒り…お前の様々な邪念から、俺は成り立っている」
「一体どういう事でござる!!」
「まだわからないのか?」
満月に照らされた狐太刀の狐の面。
怪しく照らされ、その笑みとも怒りとも言えぬ面が、拙者に向いた。
「俺はお前から拒まれ、邪念の塊となって現れたのだ」
恐ろしくなったのだ、自分自身が。
『なんと厳しい男だ』
―――…あの声は、確かに…確かに拙者の声だった。
こんなことが果たして有り得るのか?
耳元で聞こえた、第三者からの声が己の声などと…。
任務の最中では着ける狐の面…。
任務が終われば、すぐに面を外した。
あのままでは、いずれ……。
拙者は嫌な妄想を頭から振り払い、屋敷に戻った。
やはり寝静まった屋敷。
今夜はもう遅い、流石に幸姫も床についておる。
あの幸姫と狐太刀が出会った木の元で、拙者は溜め息を吐いた。
「…よくも幸と引き離したな」
「…!!何奴!?」
振り返ると、そこにいたのは…。
「…そんな、有り得ぬ…!!」
「感付いたか、流石霧助だ」
「何故…何故だ、何故お前がいる…狐太刀!」
「ふっ…何を言っている」
狐の面を着けた、もう一人の拙者…。
腕を組み、あの木に寄り掛かる狐太刀。
「俺は、お前の念から生まれたのだ」
「拙者の…念からだと…?」
「恨み、妬み、焦り、怒り…お前の様々な邪念から、俺は成り立っている」
「一体どういう事でござる!!」
「まだわからないのか?」
満月に照らされた狐太刀の狐の面。
怪しく照らされ、その笑みとも怒りとも言えぬ面が、拙者に向いた。
「俺はお前から拒まれ、邪念の塊となって現れたのだ」