絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
その頃には今井は一度酔いが冷めたのか、顔や喋りが元に戻っていた。
「幼馴染みたいなものかな……」
グラスを拭く夕貴の仕草は、もちろん様になっている。
「そうですね、そんな感じです。年もあんまり変わらないし、共通の友達もいたりして仲いいかな……。けど、夕ちゃんが結婚してからはそうでもないよね」
「ああ、まあ、そうかな」
彼は曖昧に答えた。
「そうなんですか」
今井の色気ない言葉を聞くなり気づく。そうか、こういうところで素性を話すと、女性受けが悪くなるのか。
夕貴と目が合い、ごめんね、と伝えようとしたが、うまくいかなかったらしい。彼はすぐに視線を逸らし仕事に戻った。
その後は、今井と夕貴がまるで友達のように会話をし始めたので、この2人を引き合わせてよかったと思った。今井のテンションに夕貴がうまく絡まっている。
話題はホストの職業から、ОLの愚痴、次になぜか医者の話になった。
「お医者さんって変な人が多いってよく言うでしょう? お金持ちの医者の子供がまたお金持ちの医者になったりして、その連鎖が続くから世間を知らないって」
今井が誰のことを言いたいのか知らないが、そのセリフをついついなぞってしまう。
「私もテレビで見たことありますけど、実際ってどうなのかな……」
香月はちらと夕貴を見た。案の定彼もこちらを見ている。
「……僕の知り合いに医者がいますけど、確かにそいつも医者の息子で、やっぱりちょっと変だったかな」
彼が言いたい事はもちろん分かる。
「世間を知らなくても生きていけてる感じはしましたけどね」
「共通の知り合いだったの?」
夕貴の視線に気づいて、今井はこちらを見た。
「まあ、でも、海外に行ったりしてがんばってるらしいから、頭だけは悪くないんだと思いますよ。心が変なだけで」
香月は素直に笑った。
「なんかその言葉、ピンとくるなあ」
今井の医師にも心当たりがあるようだが、特に不思議ではなかった。医者とはそんなものなのだろう。
「私ね、香月さんにはさっき話したんだけど、大学の時付き合ってた人がいて、その人結局医者になったの。その人も医者の息子でね……。
確かに頭は良さそうだったなあ、実際医者になったし」
「まあ、いずれにせよ、成功するってことが一番大事なことですよね」
誇らしげに、夕貴は笑む。
「幼馴染みたいなものかな……」
グラスを拭く夕貴の仕草は、もちろん様になっている。
「そうですね、そんな感じです。年もあんまり変わらないし、共通の友達もいたりして仲いいかな……。けど、夕ちゃんが結婚してからはそうでもないよね」
「ああ、まあ、そうかな」
彼は曖昧に答えた。
「そうなんですか」
今井の色気ない言葉を聞くなり気づく。そうか、こういうところで素性を話すと、女性受けが悪くなるのか。
夕貴と目が合い、ごめんね、と伝えようとしたが、うまくいかなかったらしい。彼はすぐに視線を逸らし仕事に戻った。
その後は、今井と夕貴がまるで友達のように会話をし始めたので、この2人を引き合わせてよかったと思った。今井のテンションに夕貴がうまく絡まっている。
話題はホストの職業から、ОLの愚痴、次になぜか医者の話になった。
「お医者さんって変な人が多いってよく言うでしょう? お金持ちの医者の子供がまたお金持ちの医者になったりして、その連鎖が続くから世間を知らないって」
今井が誰のことを言いたいのか知らないが、そのセリフをついついなぞってしまう。
「私もテレビで見たことありますけど、実際ってどうなのかな……」
香月はちらと夕貴を見た。案の定彼もこちらを見ている。
「……僕の知り合いに医者がいますけど、確かにそいつも医者の息子で、やっぱりちょっと変だったかな」
彼が言いたい事はもちろん分かる。
「世間を知らなくても生きていけてる感じはしましたけどね」
「共通の知り合いだったの?」
夕貴の視線に気づいて、今井はこちらを見た。
「まあ、でも、海外に行ったりしてがんばってるらしいから、頭だけは悪くないんだと思いますよ。心が変なだけで」
香月は素直に笑った。
「なんかその言葉、ピンとくるなあ」
今井の医師にも心当たりがあるようだが、特に不思議ではなかった。医者とはそんなものなのだろう。
「私ね、香月さんにはさっき話したんだけど、大学の時付き合ってた人がいて、その人結局医者になったの。その人も医者の息子でね……。
確かに頭は良さそうだったなあ、実際医者になったし」
「まあ、いずれにせよ、成功するってことが一番大事なことですよね」
誇らしげに、夕貴は笑む。