絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
 ここが話の核心であった。
 だが巽はいとも簡単に、
「俺はそういう女としか寝ない主義だが。お前は違うんだな?」
 それは、違う。
「それは違う! 私は、あなたのことが好きで……好きだから、別に、あなたが私のことを、そんな好きじゃなくても、いいと思って……」
「そんなタマか……今もそれに納得できんでゴネてるんだろう?」
「……、じゃあ、私と同じように私を好きなら、もっとなんか……、もっとなんか……」
 巽のことを好きだと初めて自覚した。いや、自覚させられたが、不安はなかった。
「何が不満だ? 会う時間を増やしたいのなら、俺の家に来ればいい」
「……」
 思いがけない抽象的で、しかしこれ以上ない提案に、巽の目をじっと見つめた。
「それで納得するのなら」
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