the second 〜永遠の恋人〜
『や、やめて…助けて…』

震えながら後ずさりする。

未音には慶子が体をトランクに入れたまま、手の力だけでこちらに這ってきそうな気がしてたまらなかった。

『どうして…ちゃんと埋めたのに…』

間違いなく弓暢と二人して埋めた筈だ。

その証拠に慶子の体は泥だらけではないか。

でも何故?

もはや腰が抜けて自力では立つ事さえままならない。

携帯で弓暢の番号を呼び出しながら壁づたいに何とか立ち上がる。

電話を耳に押し当てながら電気のスイッチを手探りで探した。

弓暢は何と言うだろうか?

誰かに見られていたのか?

それとも弓暢の仕業なのか?

交錯する疑惑を押し殺して呼び出し音を数える。
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