あの夏の君へ
それからは一言も話さない日が続いた。
ずっとずっと何かが引っ掛かって、喋りたくても喋れなかった。
「亜樹」
「何?」
「世界史のノート見してや」
「昨日寝たし、書いとらん」
冷たく当たりたい訳じゃない。
ただ素直になれなかった。
怖かった。
“ごめんなさい”って言うのが。
付き合ってるのに、付き合ってないような関係。
授業中に時々頭を抱える荻を見て、部活も最高潮に悪いんやろうなと感じた。
何もしてあげられない。
私は幼かった。
私だけが幼かった。