あの夏の君へ





部活なんてしんどいだけだと、中学の頃に嫌と言うほど思い知らされたから部活に入らなかったし、何かにとことん打ち込んだこともなければ、熱中したこともない。

けれどこんな適当な性格、別に嫌いでもない。

案外、好き。



「悪い悪い…遅れた」

「遅れすぎやって…本間に。コンビニでおでん買えたって」

「それは絶対嘘。適当なことばっか言うなや」

「…てへ?」

「てへじゃないし」

「今日の荻ん家のごはん何やろなぁ?」

二人で暗い夜道を歩きながら、彼は自然と右側に寄る。

「今日の飯はチャンポンらしい」

「うわっ!!そうなん!?むっちゃ好き!早く食べたい♪」

「お前はケンと同じもん食っといたら良いやん」

ケンとは荻の家で飼っているミックス犬の名前。



「帰る」

「嘘!嘘!嘘っ!!」


いつもこんな毎日。

冗談言い合って。

なかなか楽しいねん。





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