あの夏の君へ





その日の夜、荻からメールがあった。

【今日はごめん(;_;)捻挫してた。完治に一ヶ月掛かるって…】

一ヶ月…。

その言葉が重く、心に突き刺さった。


♪〜♪〜♪


数分後、携帯のディスプレイに荻の名前が表示された。

「はい…」

『あ……亜樹?』

「うん。荻…大丈夫?」

こんな時に出てくるのは、ありきたりな言葉だった。

「完治に一ヶ月って」

『…うん。春季は悪いけど出られんって』

「…そうなんや…」

『俺、中学の時も捻挫したことあったし、もうクセになってるって言われたわ!!』

悔しそうに強がっていた。

「夏季が……夏季大会があるやん!しかも、まだ荻は二年生やん?まだ時間はあるやんか。焦らんで良いんやで?」

掛ける言葉全てが脆く、情けなく、頼りない。

きっと励みにすらならなかった。





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