コスプレ少年×少女(仮)


「ごめん遅くなっ・・・て・・・え!?」


「あ、お帰り凛!凛って小さい頃からコスプレしてたんだね!コスプレした凛見たかったなあ〜」

凛はクローゼットを見ているあたしを見てしばらく唖然としていたが、段々顔が赤くなっていった。


「見んな!」


「もう見たよん♪」


耳まで真っ赤っかな凛はあたしを押しのけてクローゼットを勢いよく閉めた。


「凛コスプレ大会の時上手かったもんね!女のあたしが男に負けるなんて悔しい、って言ったけどあたしも正直負けたと思ったの。小さい頃からの努力の賜物だったんだね。凄いね凛!」


「・・・別に兄キの趣味だよ。気づいたら小学校の頃から着せられて、演じさせられてた」


「凛嫌だったんだ?」


「いや、途中から演じるのが楽しくなったよ。でも・・・」


「・・・でも?」


そこで凛の言葉が止まった。


・・・あたしと一緒なのかもしれない。

あたしも段々演じるのが楽しくなった。

でも、最近知らない間に気づいたら女王様キャラを演じてる。

だから少しコワくなった。

今まで通り振る舞っているつもりでも、違うような気がして。

あたしがあたしでなくなっていく感覚。

あたしって前どんな風にしゃべってた?

笑ってた?

どれが本当のあたし?

分からなくなってくる。
そんな感覚に小さい頃から襲われ、完全に自分が分からなくなってるのかも。


そう思ったら、自然と体が動いていた。


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