雨のち晴れ。
「えっとなぁ...ちょっと待ってなぁ」
男の人は、棚を探し始めた。
ふと目に入った脱衣所にある鏡で、
自分の顔を見た。
...酷い顔だな。
彼氏には振られ、家族はいないし...
これから、どうしようかなぁ...
「あったあった。はい」
「ありがとうございます」
私は、タオルを受け取り髪の毛を拭き始めた。
「なぁ」
「はい?」
「何があったんや?」
「......」
今、一番聞いて欲しくなった。
「答えたくなかったらいいんやで?
 でもな、そんな顔になるくらいな事を
 一人で抱え込むのはあかん事ちゃうか?
 親御さんは?」
「....家族は、いない.....」
「え...?」
「去年の夏、事故で死んだの。
 私を除く全員が」
「すまん...聞かんかったらよかったな」
「謝らないで、辛くなるから」
「...すまん」
言ったそばから...

もういいや。
この人になら、話せるかも。
直感的にそう思った。
全部、受け止めてもらえると思った。
「何も言わずに、全部聞いて」
「分かった」
私は、これに座りと言って出してくれた椅子に
腰をかけ、今日までの事を隠さず
すべてを打ち明けた__
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