紅梅サドン
次郎は雪子と買い物に出掛けた。


あの雪子の真実を知ってから、僕とルノーは何度も話し合った。

雪子は別段焦る様子も無く、普段通りに過ごしている。

「秋ジイ、本当に行くの?。

俺、やだあ。雪子の旦那が警察に知らせてるかもしんないじゃん。」

雪子が買い物に出たのを確認すると、ルノーはいつもの様にすぐさま口火を切った。

「警察がここに訪ねて来ないって事は、大丈夫なんだろ?

いやーーちっとも大丈夫じゃあねえな、多分。」

「秋ジイ一人で行ってえ。俺、女騙すのは楽勝だけど、男は苦手なんだよねえ。

しかもーーさあ。

元ラガーマンってーーー。」

最近の僕とルノーはこの会話を何度となく繰り返している。

結局は、いつまでも結論の出ない話し合いが続くのだ。

ルノーも僕も窓から差し込む陽気な太陽に目を細め、押し黙った。



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