紅梅サドン
「ーー嘘です。」
「本当だよ、美人さん。」
「嘘です。」
「本当だよ、雪子ーー。」
「『雪子』はやめて欲しいんですケド。
そう呼んでいいのは秋さんだけです。」
「ついでに愛してるよ、雪子。」
「ついでで愛さないで下さい。私は秋さんのものですケド。」
ボタンの掛け違いばかりの不思議な会話が耳に入り込む。
その可笑しな会話を打ち消していく、騒がしい雨音が窓越しに響いて僕は目が覚めた。
僕の布団のすぐそばで、雪子とルノーが向かい合わせてテーブルに座っていた。