アイ・ラブ・おデブ【完結】
小さな手
それから遥とは会えずに二週間が経っていた

マサにも遥からの連絡はなく探してくれたが、どこにいるのかも分からない

もしかしたら日本をすでに発っているのかもしれない

街はもうすぐやってくるクリスマスに華やいでいた

しかし、小夜の気持ちは悲しみと苛立ちが渦巻き、楽しい雰囲気にのまれることはなかった

そんな中、待っていた朗報が届いた

"小夜~!
生まれたよ♪
お猿さんみたいな男の子!
会いに来てちょうだい
待ってるよ~
     新米ママより"

柏木ときらりの赤ちゃんが無事に生まれたメールが眠ろうとしていた小夜の携帯に届いた

ささくれていた気持ちに暖かい風が吹き、久しぶりにほんわかした

次の日会社帰りに産院に寄ると、夕飯を頬張るきらりの横にすやすやと眠る赤ん坊がいた

真っ赤な顔に小さな手…頭にはふさふさと黒髪が生えている

「うわぁ~!ほんとにお猿さんみたい
でもこんなに可愛いお猿さんはいないよね!」

「でしょ~!
トモの小さい時にそっくりらしいよ!
猿からあんな風に進化するんだね…
その過程を見てやってね」

母親になったきらりが優しく微笑む

…この子が成長するのを傍で見ていていいんだ…
どんな風に大きくなるんだろう…すごい楽しみだな
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