アイ・ラブ・おデブ【完結】
…重い十字架…罰を受けた…
それで、こんな姿を…
だが、環も僕も過ぎた時間は取り戻せない
過去を変えられない…
環のせいでこんなことになったが、僕自身が選んだ道だ
もしかしたら違う道があったのかもしれない…
環が全て悪いわけではないな
…もう…取り戻せないんだ…

環から目を離し、そっと瞼を閉じた

その暗闇に見えてくるあの…はにかんだ笑顔…
ハルと呼ぶ優しい声…
直ぐに赤らめる柔らかな頬…

手放してしまったものはあまりにも大きい
子供の頃から想いを寄せてきたのに…

二度と小夜の前に出ることなど許される筈がなかった

「分かりました…
これで失礼をします
環…僕とのことは…僕自身が選んだことだ
僕も、それ相応の罰を受けるだろう
もう会うことはないだろ?
元気でな…」

小刻みに肩を震わせる環へ声をかけ、ゆっくりと立ち上がった

そのまま玄関へ向かい外に出た

ドアが閉まる隙間から、ジョエルが深々と頭を下げていたのが見えた
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