アイ・ラブ・おデブ【完結】
暗闇の中で
実家を離れて10年が経つ

その間、祖母との関係は縮まることなく溝を深め小夜の心の奥に溶けることのない塊を作っていた

今、窓の向こうに広がる夜の街には灯りが点在しているが、昔を思い出している小夜の目には真っ暗な闇しか映っていなかった

…ババ様…
あたしと話してくれるかな…
たとえ許してもらえなくても…
向かい合わなければ…
…でも…向かい合えるのか…
あのまま家を出て、逃げていたあたしに…

言い様のない不安に押し潰されそうになり、いつものように目を閉じて胸の前で両手を握りしめた

勇気の湧いてくるまじないも今の気持ちには勝てずに、涙が溢れそうになる
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