一歩手前


ぐずりながら俺の背中に乗った林田は、柔らかくて、コイツちゃんと食ってんのか、ってくらい軽かった。


女の子…なんだなあ。


「ふふっ」


「何笑ってんだよ」


「私誤解してたなって思って。染野くんって優しいんだね。もっと怖い人かと思ってた」


ありがとう、といつものオドオドした声と違う優しい声で言われて、ドクドクと波打つ俺の鼓動が早くなる。
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