永遠を繋いで
困り果てて無視を決め込んだ、すぐあとのことだった。
スパン、と小気味良い音が教室に響く。机に突っ伏した状態だったために状況は分からないが、痛みを訴えた涼太の声を聞こえる。
戻ってきた蓮か茜くん、二人のどちらかに叩かれたのだろう。恐らく後者だろうが。

「いきなりやめろっつの!しかも手加減なしかよ!」

「うっさいっす。あんたが真咲先輩に纏わりついてるからだよ、もう帰れ」

「お前本っ当に可愛くねーな!」

体を起こせば、口喧嘩を繰り広げる涼太と茜くん。
しかしそれは険悪なものではなくて、じゃれ合いのようなものに近いように思う。やはり心配は無用だったようだ。
その光景に安堵から口元が弛むのを感じた。

「言われなくても帰るわ。ほら、二人もたいさーん」

「え、一緒に帰るの?」

「だって俺だけ一人とか寂しい」

「しょうがないから三人で帰ってあげる」

じゃあねー!と、言うなり三人は風のごとく教室から出て行ってしまった。
その早さに目を丸くして見送ると、隣りに立っていた茜くんがふっと微笑んだ。

「だいぶ気遣えるようになったみたいっすね。本当に女遊びやめたみたいだし」

あたしが言った翌日から、涼太は本当に女遊びを一切しなくなった。割り切った関係だったとはいえ、随分色んな子に責められ中には叩いた女の子もいたようだけれど。

「安心したよ。真美とも元に戻ったし。茜くんも、ね」

「まぁ。あんなん続けてたら見限ろうと思いましたけど」

毒を吐く割には嬉しそうな表情で笑う。とはいえ微かに、であるのだが。

「帰りましょ」

手をとる動作が随分自然になった。
最初はさらりとやってのけるそれがあんなに恥ずかしいと思ったのに、今ではそんなことはなくて。
浅ましくも足りないと思っていることを、気付いてはいるだろうか。

もっと近付きたいよ、全部ちょうだいよ。
待つなんてもう言わなくていいから。

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