大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
「おい、赤城。用がすんだらさっさと帰れ。」

彼女がそんな事を想像してほんのり頬を染めていると、西園寺の不愉快そうな声が背後から聞こえてきた。

由香里は慌てて赤城から離れようとするがいつの間にか腰に添えられた手がそれをさせてくれない。

「こんな愛らしい人を連れて来ておいて紹介してくれないなんでひどいな、西園寺。」

「……本社での部下だと紹介したつもりだが?」

笑いを含んだ赤城の声とは対照的な西園寺の冷たい声に由香里は1人びくびくしている。

さながら肉食獣2匹に挟まれた草食動物の気分だった。

「大体お前とは何度も電話で話しているだろう?」

そう言って西園寺は由香里の腰を強引に引き寄せた。

赤城に抱きしめられる格好になっていた彼女はようやく西園寺の腕の中に戻る事が出来て正直ホッと安心する。

由香里は自然と西園寺に自分から抱きついていた。

そんな由香里の仕草を見て赤城の目が細められる。

「もしかして、僕警戒されちゃった?」

赤城は手を顔の横でヒラヒラとさせながらにっこり微笑んだ。

「人の物に手を出すほど困ってないから大丈夫。」

「だったら帰れ。」

西園寺の不機嫌な口調が可笑しいのか彼はクスクス笑っていた。

「怖いなあ、相変わらず君は。 じゃあね由香里さん。」

そう言うと彼は、ホテルのロビーから出ていったのだった。
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