七つの椅子

「竜治、日本に帰るわよ!!」

瞳を緑色に輝かせたエレナが興奮気味に身を乗り出す。

「か、帰るって…フランスにある椅子は、どーすんだよ!?」

わざわざフランスまで来たのに収穫も無しに、あっさり帰ると告げたエレナに驚く。

「見つからないモンは見つからないの。いずれまた運の椅子は探しに来る」

エレナはガッツポーズをして見せる。

「ま、気が消えてしまったからフランスにあるとは限らないけど…」

静かにエレナは椅子に腰を下ろした。

確かにエレナの言っている事は正しいのかもしれない。

椅子は所有者が死ぬか、所有者が所有権を放棄すると椅子は勝手に必要とされる所へ姿を消す。

だから最初はこの教会にあったのかもしれないが、何らかの理由で椅子はフランスから消えたとしても、その可能性を否定することは出来ない。

「…で、日本に帰って運の椅子を探すのか?さっき見えたって言ってたし」

「いいえ、見えたのは運の椅子じゃないわ」

エレナは次の椅子の名を口にした。




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