シーソーが揺れてる
「久しぶりだなあ」
「まさかこんなところで会うだなんて・・・」
「♪お久しぶーりーね♪」
「古っ!いつの時代の歌よ。あんたほんとに私と同じ二十歳?」
この瞬間、これから浸ろうとしていた久々の再会の驚きと感動が一気に消え失せた。
でもあのおちゃらけたところも変わっていないようで安心した。
「古くて悪かったねえ」
「ところでさあ、今何してるの?」
「ベンチに座ってコーヒー飲んでる」
「それは分かるけど、そうじゃなくて今仕事してんの?それとも学生やってるのって話」
「家の店手伝ってる」
「えっそうなの?」
直人の家は車屋さんなのだ。
小学校か中学校の卒業文集に「親父の跡を継いで車屋になりたい」と直人が書いていたのを春香は思い出した。
「じゃあ夢が叶ったんだね」「うん。まあそうなるね」
しかし春香は嬉しさの反面あせりも覚えていた。
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