シーソーが揺れてる

「おい、良太昨日西山に電話したんだってなあ」
公園に向かう途中、直人は不意に良太に話かけた。
「えっ、なんで知ってるんですか?」
「西山が言ってた」
直人はぼそりと答えた。
「じゃあ先輩も電話したんじゃないですか」
「まあな」
「で、どんな話をされたんですか?」
良太は目を輝かせた。
「おっ、おまえの方こそ西山と何話したんだよ」
「えっえ?」
直人の質問に良太は少し慌てた。
「まさかあれか?こんどデートしましょうとでも言ったのか?」
「ちっ違いますよ。それは先輩なんじゃないんですか?」
「馬鹿言うなよ。おれはなあ・・・」
直人の台詞が途切れた。その後に続くいい言葉がどうしても浮かばない。それもそのはず、
「特に何も話してないんだよ」
下を向いて直人は良太に聞こえないようにこっそり呟いた。しかし、
「そうですか」
残念ながらその呟きは良太の耳に入っていた。
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