シーソーが揺れてる

「はー・・・」
「どうしたんですか先輩、ため息なんかついて」
その日の午後3時。仕事の合間の休憩で麦茶を飲みながら良太は向かい側に座る直人を見て言った。
「べつに何でも無いよ」
無愛想気味に直人は答えた。しかし、
「はー・・・」
と再びため息をこぼした。
「ため息つくと幸せが逃げるって言ったの先輩じゃないですか」
良太は人差し指で自分のマグカップをこつこつと軽く叩いた。
「いいよおれは元から不幸だから」
「そんなこと・・・」
「おいおまえこんどの休み何か予定あるのか?」
直人の唐突の質問に良太は一瞬考え込んだ。そして、
「大学の友達と遊びにでも行こうかと」
と答えた。
「どこ行くんだよ」
「まだ決まってないですけど、たぶんまたオールナイトでカラオケになりそうです」
「ふーん」
直人は残りの麦茶を少しすすると続けてこう言った。
「おまえはいいよなあ、そこら中に友達が居て」
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