シーソーが揺れてる
「あっ、どうも・・・」
呆気に取られたように春香はぺこりと片山良太と名乗る男に頭を下げた。
「おいおいおい、西山までどうしたんだ?急に静かになっちゃって」
二人を交互に見ながら直人はちゃかした。
「すみませんねえうるさくて」
春香は直人の方に向き直るとその顔を睨んだ。
「まあまあ、ふだんはそれだけ明るいってことですよねえ先輩」
「えっ?あー・・・」
「そう、なんでしょうか?」
良太の突然のフォローに、直人も春香も言葉に詰まった。
「すみません、あの・・・」
「まっそこ座れよ」
そんな二人を見て申し訳なく思い立ち尽くしている良太に直人はベンチを勧めた。
「いや、でも・・・」
「ずっと立ってるのも疲れるでしょ?」
春香も自分の右側を指さして言った。
「じゃあお言葉に甘えて・・・」
そう言って良太は二人に勧められた席に座った。
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