シーソーが揺れてる
携帯がなったのはそれからやく3時間後のことだった。ベッドに寝ころびながらラジオの深夜番組を聞いていた春香は、慌ててラジオを止めると携帯に手を延ばして電話に出た。
「もしもし」
「あっ、西山さんですか?」
その声は間違い無く良太だった。
「はい。昨日はどうも」
「いえいえこちらこそ。杉浦先輩から渡してもらったんですね?」
「うん、今日公園で会った時にねえ」
「そうですか。さっきはすみませんでした」
「あーいいのよ。今日学校だったんでしょー?お疲れ様」
「あー、ありがとうございます」
「今何してるの?」
「今、ですか?」
「なんか周りがずいぶん賑やかそうだから」
受話器の向こうからは良太の声と混じってざわざわした人の声や、ごとごとという物音が聞こえていた。
「じつは今合コンの帰りで・・・」
少し低めの声で良太は言った。
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