シーソーが揺れてる

「ねえ、前からずっと気になってたんだけどさあ」
「うん」
バスが走り出してしばらくすると、隣に座る広美が不意に声をかけた。
「なんで春ちゃん音大辞めちゃったの?」
「えっ?あー・・・」
春香は考え込むように口を噤んだ。
「もうそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「だから体調崩しちゃってさあ」
「それは知ってるわよ。私が知りたいのはその理由よ」
「あー」
春香の体を嫌な予感のような物が包んだ。
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