逃げる女
ピンポーン



大きな音が玄関から聞こえてくる。


泉美かな?



「はーい。」



ガチャリとドアを開けて固まる私。



『なんだ。思ってたより元気じゃんか。』



ドアを開けるときは、誰かを確認してから開けなさい。


一人暮らしを始める際にお母さんに忠告された事を思い出す。



うん。お母さんの言う通りだね。
確認してたら、絶対居留守使ってたよ…


「…いややっぱり落ち込んでたか?電気もつけずにいたんだ。」



固まる私の横を通り抜けて、部屋へと勝手にあがる充。



「ちょっと!勝手に入らないでよ!女の子の部屋なんだよ!?」



私の抗議に首を傾げる充。



『何を今更。』



「が、学校は?」



『今何時だと思ってるんだよ。とっくに終わってるし。』
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