逃げる女
『何でそう言い切れるんだよ。』

そう尋ねる薫に彼女はこう答えた。


『だって…話してる大志…すごく悲しそうだったもん。…想像と違ったって、じゃあどんな俺だったら良かったんだろうなって、話してる最中に頭抱えてしゃがみ込んじゃう位、落ち込んでたんだよ?
今だってそうじゃん!連絡来ないって、すごく元気なくて。きっとまた、想像と違ったと思われたと勘違いしてるんだよ!絶対そうだよ!』



『なら、なんで俺らにはそう話してくれなかったんだよ。』



『それは…わかんないけどさ…』


『…見栄はったんじゃないの?振られたっていうの恥ずかしくてさ。違うかな?』



綾がそういうと、薫の彼女も同意した。



『そうだよ!きっとそう!薫達に振られたなんて言ったら、相当馬鹿にされそうだもんね。だから、嘘ついたんだよ!』




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