先生へ -君に詠む愛の歌-
ガラガラガラ。

教室の扉が開いた。


あ・・・壬生先生だ。






どうして


神様は


こんなに


私を試したがるのだろう・・・



私の決意は




ゆらぎないものなのに・・・


「このクラスの古典を担当します
 壬生貴臣です、よろしく。」


先生は

黒板に名前を書いて挨拶をした。


とてもキレイな字だった。


そういえば生徒会では

副会長が書いてたから

先生の字を見るのは初めて

だったことに気がつく。

「初めての授業なんで
 私的質問3つまで
 受け付けるぞ。」


少しハニカミながら先生が言った。


彼女はいるかとか、そんな質問

ばっかりだった。


彼女はいないって答えて


好きな人もいないって。


好みのタイプは・・・


清少納言らしい。


みんなの心をつかんだ


出だしだった。





初めての古典の授業。



初めての壬生先生の授業。




クラスの半分以上の生徒が




眠りに落ちていた。
 
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