電子警察官AKI ～３日間の命～

○目的

後頭部に鈍い痛みが走った。


辺りに散らばる瓶の破片…。


あまりの痛みに、私はデスクに倒れ込んだ。

AKIの前のキーボードが、私の血で赤く染まる。



｢な…ぜ……何故だ…小林…!!｣


｢おーおー、いったそーだなぁ、柊ィ｣



割れた酒瓶を肩に担ぎ上げ、小林はニヤニヤと笑っている。

私は精一杯首を後ろに向け、その姿を目に焼き付けた。



｢お…前……が…ハッカー……だった、のか…!!｣


｢ようやく気付いたのかよ、鈍感だなぁ柊博士｣


『小林博士は僕との対面時に、入力されたウィルス対策データを盗み見たようです』


｢そ♪賢いだろ、俺って。なんたって、最強と騒がれた電子警察官の知らないウィルスを造り上げたんだから｣


｢何が……目的、だ…！｣



私はデスクにしがみつき、息絶え絶えながも目的を問う。

小林はトントンとリズミカルに酒瓶を肩に叩くと、少し考えた様子で答えた。



｢あのねぇ、俺達ハッカーにとって、そのお巡りさんはすんげぇ邪魔なのよ｣



小林は私に歩み寄り、割れた先をこちらに向けた。



｢そいつの作成データを壊したのはいいケド、まだ残ってるんだなぁ…これが｣


尖ったガラスが私の頬を切り、じわりと血が滲み出る。



｢柊博士、あんたの頭ン中にある"作成データ"を、俺は壊さなきゃならんのよ｣