Love of space 1

一目惚れ







『ヤバイくらい緊張するんですけど。』


舞台裏で水谷先生に話しかける。


あれから1週間。

今日は着任式。



「大丈夫ですよ。

リラックスです。リラックス」


水谷先生に背中を押され壇上に上がる。



壇上から見ると座っている生徒たちの行動がよく見える。



居眠りしているものや、


携帯をさわっているものや、


友達と喋っているものや、



真面目に話を聞いている生徒なんて1割くらいしかいないだろう。



見渡していると俺の目が一点のところで止まる。



そいつは眠そうに欠伸をしていた。



なぜかそいつから目が離せなくなった。



欠伸ばっかりしていて俺のことなんか眼中にないだろうな…



あいさつを終えて席に着くと、



「朝倉先生!良かったですよ。」


と、隣の水谷先生が話しかけてきた。


でも水谷先生の言葉は右の耳から左の耳へ抜けてしまった。



だって全身神経が欠伸をしているアイツに向いてしまっていたんだから…。






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