空から君へ

俺なら絢に…。






「陽ならかぁ…。俺が陽なら…」



「待って!言わないで!」






聞いたくせになんだよあいつ。
俺ならきっと絢に



“絢に任せるなら犬にでもやらすし”



って言ったかな?







「意地悪…。少しは褒めてよ…」



「なに一人で会話してんだよ…」






聞こえたんだな。
絢…。

だから言っただろ?



“心はいつもそばにある”って。







「陽からの言葉っ」



「なんて?」



「優にはおしえないっ」







そう、この笑顔が見られるだけで幸せなんだ。

幸せだったんだ。



本当にニブイ奴だった・・・。
もう、俺がいなくても




大丈夫―――…。





これで本当にさようならだな。

この世界から
俺の魂は、天使と神様のもとへ帰っていく。




俺が由美と優に託した手紙は、
一生読まれることはない。



そして



俺が生まれ変わることもない。
死んだらもう、生まれ変わらない。




“一ノ瀬 陽”として話す




最後になる。






< 71 / 75 >

この作品をシェア

pagetop