たったひとつの愛と笑顔

バトル

それからというもの、蛍は翔太にベッっトリだ。




「翔太。こっちにいこ。」




蛍は翔太を呼び捨てするようになった。




明日香と翔太が話していても、蛍は邪魔してくる。


邪魔しないでよ。



言いたいけど言えないことだ。




「ゴメン、明日香、トイレ行って来る。」




そういって、2人の間から消える。


そういう毎日を送っていた。
しかし、翔太とは帰る方向が同じだ。



だから、そのときだけ2人きりになれる。



と、思っていたが、




「翔太。今日、送って帰ってよ。」




「ダメだ。明日香を送る。」




やったー。嬉しい。




「じゃあ、蛍も一緒に帰る。」





「お前、俺と別方向だろ。」




「でも、一緒に帰りたい。」




そこまでして、明日香と翔太を2人きりにさせたくないのだろうか。




「なんで???たまには2人きりにさせてよ。」





言ったつもりだった。




でも、2人には聞こえていない様子だった。




「明日香さぁ~。本当は翔太のこと好きじゃないんじゃないの???」




蛍からたびたびこんな質問が来る。




「好きだよ。蛍こそ、本当に好きな人には幸せになって欲しいのに。なんで翔太の幸せを考えないの???」



明日香も質問で返す。




「翔太は明日香より、蛍といた方が楽しいの。だよね??翔太。」




ドクン。ドクン。




もちろん、明日香だよね。




「わかんねぇ。」

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