カローレアの金
「あら…ロイ…?」

外に出て女王が目にしたものは、交わる多くの剣と、それを見て立ち尽くすアンの姿だった。

「こちらにいたんですか…」

「どうしようか、これ。目当てはわた…俺だと思うんだけど」

こっそりと耳打ちをする。
女王は呆然としたまま動かない。

「おい?」

「あ、ごめんなさい。いや、そんなことはわかっているんですよ。レベぺの方々の目的があなただということは」

「じゃあどうしたんだよ。ボーッとして」

「さっき…あなたを探している男の子が城の中に…」

女王はゆっくりと城を指す。

「え、男の子…?男じゃなくて?」

頷く女王を見て、アンは考えだした。
レベぺに男の子と呼べるような奴は……。いや、まさかそんな。こんなところに来るのは早すぎる。

「一つ聞く。…何歳くらいだった?」

「まだ幼かったですね。六歳とかだと思います」

「ジルだ!」

そう気づき、声をあげると同時にアンは城の中へと向かう。
城の中にはまだ衛兵もいる。あの王子だっている。
アンは、全員の性格を考え、ジルを発見しても無残なことはしないと思いつつ、やはりどこかに不安があった。

「無事でいてくれ…!」

地面を強く蹴り上げ、ジルを求めて走った。
< 66 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop