カローレアの金
「…今日はご苦労様でした。今日はゆっくり休んでください、と労いたいところですが、そうもいきませんね」

冷たい声が響く。
女王が怒っていると、その場の全員が悟った。

「早朝の侵入だったとはいえ、なんですかあの体たらくは。城内に何人かの侵入を許し、かつ、手こずりすぎてこちら側も自由に動けないという始末。
これが戦争だったらめでたく大敗してたでしょうねえ」

ここでようやく女王の顔に笑顔が戻るが、衛兵達はそれを見て青ざめた。
アンの近くにいる衛兵が「…やばい」とこぼす。

「相手があのレベペだったとは言え、こちら側が無様だったのは変わりません。よって、今日から訓練は倍にします‼︎一国を担う者、守る者であるという自覚を各々持つように‼︎」

その声に衛兵全員が「はっ」と敬礼をしつつ返事をする。
ふと、アンと女王の目が合った。
女王はアンを手招きし、アンは不審に思いながらも女王の隣に向かう。
< 83 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop